圧縮機事件(その1)

投稿日: 2017/04/28 1:44:13

今日は平成26年(ワ)第34678号 特許権侵害行為差止等請求事件について検討します。この事件の原告は株式会社豊田自動織機です。言わずと知れた世界のトヨタの原点の会社です。被告はハノンシステムズ・ジャパン株式会社です。自動車用エアコンシステムのメーカのようです。インターネットで検索しヒットした情報によると、もともとアメリカのフォードと韓国の会社の合弁で設立した会社ですが、紆余曲折を経て韓国系の資本で占められた会社に戻っているようです。

原告は損害賠償請求せずに差止及び廃棄を求めています。つまり、お金はいらないから作らないでくれ、ということなので結構インパクトがあります。

今回J-PlatPatのワン・ポータル・ドシエを初めて使いましたがなかなか良いです。海外含めたファミリーが簡単に検索でき、さらにオフィスアクション等もダウンロードできます。

今日は各手続の時系列の整理まで投稿します。

 

1.各手続の時系列の整理

① 本件も原告が損害賠償請求していないので訴状送達日が記載されていませんが、事件番号から平成26年(2014年)中に提訴されたことはわかります。

② 本件特許出願は当初親出願が拒絶査定となったために保険として分割されたと思われます。その後、急遽権利化する必要が生じたために早期審査請求したと推測されます。この権利化を急いだ理由について考えてみましたが、本件訴訟が提起された時期とは5年くらい離れているので被告製品との関係性はわかりません。

③ 原告は本件特許に対応する出願を欧州、米国、韓国、中国、ブラジル及びドイツにしています。被告製品は海外でも販売されている可能性がありますが、少なくとも米国と欧州は本件特許が親出願から分割される前に特許になっていました。これからすると原告の海外特許は被告製品を含まない可能性があります。