ケーブル表示用ラベル事件(その1)

投稿日: 2017/06/08 22:47:39

今日は平成28年(ワ)第7763号 特許権に基づく製造販売禁止等請求事件について検討します。原告であるパンドウイット・コーポレーションについて、判決文にはエレクトリカル製品及びネットワーク製品の開発製造、販売を目的とする米国法人と書かれてあります。ざっと検索したところパンドウイット・コーポレーション名義の特許権が134件ヒットしました。一方、被告であるヘラマンタイトン株式会社について、判決文には電気、電子及び情報通信用配線部材の製造、販売、研究開発、輸出入等を行っている株式会社と書かれています。この会社名は知りませんでしたがホームページを開いたところインシュロックと書いてありました。本件被告製品とは無関係ですが、インシュロックであれば二十数年前に技術者として入社した時の現場実習先の工場で使い方を教えてもらって覚えたものでいわゆる結束バンドです。こちらもざっと検索したところヘラマンタイトン名義の特許権が54件ヒットしました。(「1.手続の時系列の整理」について侵害訴訟の手続き及び被告特許の出願経緯を加えるとともに見解を加えました。(2017.06.09 17:00))

1.手続の時系列の整理(特許第5377629号)

① 米国出願を優先権の基礎出願として、国際出願しています。WIPOのホームページ上で日本以外に欧州、中国、韓国、インドに移行したことが確認できます。

② 今回は被告の特許の手続きも表にしました。被告製品がこの被告特許に基づくものであることについて原告・被告間に争いがありません。また、この特許出願中で先行技術文献として挙げているのが本件特許の国内公表です。これからすると、被告は原告の特許を十分理解した上で製品開発を行ったといえます。

2.特許の内容

【請求項1】

1A:第1接着領域(16)を有する透明フィルム(14)を備える、ケーブル(12)の識別するためのセルフラミネート回転ケーブルマーカーラベルであって、

1B:前記透明フィルム(14)は、前記第1接着領域(16)に隣接する非接着性領域(20)を有し、

1C:前記透明フィルム(14)は、前記非接着性領域(20)に隣接する第2接着領域(24)を有し、

1D:前記透明フィルム(14)の前記第2接着領域(24)は、前記透明フィルム(14)がケーブル(12)の周囲に巻き付けられる際に、前記非接着性領域(20)の上に少なくとも部分的に位置するように構成され、

1E:前記透明フィルム(14)は、前記透明フィルム(14)の一方の面上にプリント用領域を有し、

1F:ミシン目(22)は前記透明フィルム(14)を横断して延在し、

1G:前記ミシン目(22)により前記透明フィルム(14)の分断線形成される

1H:ことを特徴とするセルフラミネート回転ケーブルマーカーラベル。


本件発明1は、ケーブルマーカーラベルについて、構成要件1Aないし1Hの構成、とりわけ、フィルムの一側の面に接着剤が塗布された透明な第1接着領域(16)と、接着剤が塗布されていない滑らかな裏面を有するプリント用領域(20)と、第1接着領域(16)に塗布されているのと同面に接着剤が塗布された透明な第2接着領域(24)を有するストリップ(14)に、ミシン目(22)が第1接着領域(16)とプリント用領域(20)との連結部又はその近傍において同ストリップ(14)を横断するように延在しているとの構成を採用することにより、ケーブル(12)にラベルを装着する際に、第1接着領域(16)をケーブル(12)に接着させてこれをラベルを回転させて装着する起点とし、その後接着剤が塗布されていないプリント用領域(20)と接着剤が塗布されている第1接着領域(16)とをミシン目(22)で切り離すことを可能とし、ケーブル接続の端部を切断することなく終端ケーブルに瞬時に、回転できるように付けられ、1部品又は2部品の構成であり、プリント用領域(20)を覆うクリアな保護ラミネート領域を形成し、かつ安価に提供できるケーブルマーカーラベルを実現するものである。

【請求項26】

26A:基層(28)上に一列に貼着された複数のセルフラミネート回転ケーブルマーカーラベルであって、

26B:各ケーブル(12)マーカーラベルが、第1および第2接着領域(16、24)を有する透明フィルム(14)と、

26C:前記第1接着領域(16)と前記第2接着領域(24)との間の滑らかな非接着領域と、

26D:前記透明フィルム(14)上のプリント用領域(20)であって、前記第1および第2接着領域(16、24)の間に位置するプリント用領域(24)と、

26E:前記透明フィルム(14)内のミシン目(22)であって、前記フィルムの分離線を形成するミシン目(22)と、を備え、

26F:前記基層(28)への前記フィルム(14)それぞれの前記接着領域に取り外し可能に貼着する前記第1および第2接着領域(16、24)それぞれと、

26G:前記基層(28)に貼着せず、前記基層(28)と前記透明フィルム(14)それぞれとの間の開口部であって、選択した透明フィルム(14)を引くように持ち上げる力を受け、前記基層(28)から前記選択した透明フィルム(14)を取り外せるよう構成されている開口部を形成する前記フィルムそれぞれの非接着領域と、を備える

26H:ことを特徴とする複数のセルフラミネート回転ケーブルマーカーラベル。


本件発明26は、ケーブルマーカーラベルについて、構成要件26Aないし26Hの構成、とりわけ、第1接着領域(16)及び第2接着領域(24)を有する透明フィルム(14)と、透明フィルム(14)上のプリント用領域(24)であって、前記第1接着領域(16)と第2接着領域(24)の間に位置するプリント用領域(24)と、透明フィルム(14)内にこの分離線を形成するミシン目(22)とを備える各ケーブルマーカーラベルが、基層上に一列に複数貼着されており、透明フィルム(14)と基層(28)との間に、選択した透明フィルム(14)を引くように持ち上げるために接着されていない開口部を設ける構成を採用することにより、本件発明1と同様の作用機序を可能とし、回転できるようにケーブルに付けられ、ケーブル接続の端部を切断することなく終端ケーブルに付けられ、瞬時にケーブルに付けられ、1部品又は2部品の構成であり、プリント用領域を覆うクリアな保護ラミネート領域を形成し、かつ安価に提供できる複数のケーブルマーカーラベルを実現するものである。