アルミサッシ改修工法事件(その2)

投稿日: 2017/04/16 7:53:12

今日も平成26年(ワ)第7643号 特許権侵害差止等請求事件について検討します。

今日は本件発明の内容についてまでです。

2.本件特許発明の内容

明細書に図面の説明が丁寧に書いてありますが、図面の線が細かく引き出し線も多いのでちょっとわかりにくいようです。そのため、図面に少し色を足してわかりやすくしています。

 

【請求項4】

A 建物の開口部に残存した既設引戸枠(63)は、アルミニウム合金の押出し形材から成る既設上枠(62)、アルミニウム合金の押出し形材から成り室内側案内レール(67)と室外側案内レール(66)を備えた既設下枠(56)、アルミニウム合金の押出し形材から成る既設竪枠(59、60)を有し、前記既設下枠(56)の室外側案内レール(66)は付け根付近から切断して撤去され、

B その既設下枠(56)の室内寄りに取付け補助部材(106)を設け、その取付け補助部材(106)が既設下枠(56)の底壁(103)の最も室内側の端部に連なる背後壁(104)の立面にビスで固着して取付けてあり、

C この既設引戸枠(63)内に、アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用上枠(72)、アルミニウム合金の押出し形材から成り室外から室内に向かって上方へ段差を成して傾斜し、室外寄りが低く、室内寄りが室外寄りよりも高い底壁を備えた改修用下枠(69)、アルミニウム合金の押出し形材から成る改修用竪枠(70、71)を有する改修用引戸枠(78)が挿入され、

D この改修用引戸枠(78)の改修用下枠(69)の室外寄りが、スペーサ(301)を介して既設下枠(56)の室外寄りに接して支持されると共に、前記改修用下枠(69)の室内寄りが、前記取付け補助部材(106)で支持され、

前記背後壁(104)の上端と改修用下枠(69)の上端がほぼ同じ高さであり、

F 前記改修用下枠(69)の前壁(80)が、ビスによって既設下枠(56)の前壁(102)に固定されている

G ことを特徴とする改修引戸装置。

従来アルミサッシの改修工事をする際には既設の下枠に改修用の下枠を設置していたため、既設のアルミサッシに比べ改修後のアルミサッシは高さ方向が狭くなってしまっていた。

本件発明は既設の引戸枠に設けられた下枠の室外側案内レールを切断して撤去した上で、既設の下枠の室外寄りにスペーサを設置し、室内寄りに取付け補助部材を設置し、その上に改修用引戸枠を設置することで、高さ方向が狭くなることを防止しています。

左図はアルミサッシの鉛直断面図で、緑色に塗りつぶした構造体が既設下枠56と既設上枠62であり、青色で塗りつぶした構造体が改修用下枠69と改修用上枠72です。また、既設下枠56と改修用下枠69の間のピンク色で塗りつぶした構造体がスペーサ301、黄色で塗りつぶした構造体が取付け補助部材106です。

右図はアルミサッシのB-B面で切断面線から見た水平断面図で、緑色に塗りつぶした構造体が既設竪枠(59、60)であり、青色で塗りつぶした構造体が改修用竪枠(70、71)です。

これらの図を見れば本件発明の狙いや大体の構成は理解できると思います(なお、細かく見ると色を塗った範囲に誤りがあるかもしれません)。