特許公報の検索期間の決め方は?

投稿日: 2017/02/22 1:50:13

今回は自らの特許発明を実施していそうな第三者の製品が特許発明の技術的範囲に属しているか否かのあたりをつける手段として、その第三者の特許公報を利用する上で公報の検索期間の決め方について検討します。

その前に第三者の特許公報を利用するということについて少し書いておきます。第三者の製品を解析する場合、構造であれば比較的簡単に解析できますが、制御の解析は困難です。一方、最近は自社製品を特許権で守るという意識が高くなり、特に新製品に搭載する特徴技術についてきちんと特許出願するケースが増えています。そこでらの特許発明を実施していそうな第三者の製品を購入する前に、まずその第三者の特許公報を調べることであたりをつけようというものです。

 

最初に第三者のホームページ、製品カタログ、ニュースリリースといった情報を集めます。最近はこういったものに当該製品に使われている自社特許番号(あるいは特許出願番号)が掲載されていたり(一番目)、当該製品に関連する特許出願が何件申請されているのか記載されていたり(二番目)するケースが増えています(これも特許の活用という考え方もありますが、今回は除きます)。

一番目の場合にはその番号をもとに検索することで簡単に該当する公報を検索できます。一方、二番目の場合にはキーワード等で検索する必要があります。そして、その検索でヒットした公報が果たして目的の公報であるのか自ら判断しなければなりません。

もうひとつ、ホームページ等に特許出願に関する情報が全く掲載されていないことがあります(こちらが大多数だと思います)。この場合はそもそも当該製品に関係する特許出願が申請されているか否かが不明です。このような場合でも調査するのであれば二番目の手法を参考にします。

 

それでは二番目の場合の調査方法について考えます。第一に検索する期間の始期と終期を決定します。終期は簡単ですね、調べたい製品が発表された年月日を終期にすることが基本です(念のため新規性喪失の例外を考慮して発表日から半年後を終期としても構いません)。

それでは始期はどのように決めるとよいのでしょうか?これが意外に面倒です。まず、二つのケースが考えられます。一つ目は特許発明と似た技術を初めて採用した製品が特定できるケースです。これは逆に言えばそれ以前の製品には特許発明の技術は全く使われていないと判断できるので、新しく開発したことになります。そうなると、第三者のモデルチェンジ間隔を考慮しておおよその開発開始時期が推測できるので、その時期を始期にします。

二つ目はいつから似た技術が用いられているか特定できない場合です。この場合には特許出願日を始期にすることになります。当該特許発明と同じ内容の特許公報が、当該特許出願以前に出願されていた場合には特許無効理由が存在し、権利行使できないからです。

 

期間が決まったら実際にどのようなキーワードを設定して検索すべきか、どのような公報を抽出すべきか、といったことを書くとなると、これも文章だらけになるのでまた今度掲載します。