「部」2
投稿日: 2017/03/27 15:41:58
前回は「部」について日頃考えていることをとりとめもなく書いてみました。
その中で各構成の名称に「部」をつける場合には、各部が一体に作成されていても別々に作成されていてもよい、というニュアンスを含ませることがある、と書きました。具体的には、例えば、原告製品の遮断弁について明細書を作成するとしたら、「ケース体」が「筒状部」及び「底部」から構成されている、といったように表現するということです。
ところで、実際のところ「部」と付けただけでそこまで好意的に解釈されるのでしょうか?前回述べたように辞書には一区分とのみ書いてあるだけなので、そこに一体でも良いとか別体でも良いとか定義されているわけではありません(ダメとも定義されていませんが)。そうなると、やはり「なお、この実施例ではケース体を構成する筒状部及び底部を一体として記載したが、両者を別体で構成してもよい」といったなお書きが必要と思います。
それにも関わらず「部」が多用されるのは、一つの構成に「部」を付けると統一感を持たせるために他の構成にも「部」を付けたくなるとか、付けておいて損はない、といった考えだと思います。
しかし、原告製品の遮断弁について明細書を書くとしたら、気を付けるべきは絞り加工によりなべ形状しているために「底」と見える部分が実は「底」の機能をすべて備える必要はない、という点です。本来的にはなべの底は周壁(筒状部)と一体となっていなければ機能を果たせないはずなので、安易に「底」と名付けただけでは別体との解釈を制限することになりかねません。先日の事件では原告はその点を逆にとって原告製品説明書でわざわざ「底部」と名付けたと思いますが、明細書として書く場合には逆です。