掘削装置事件(その1)
投稿日: 2017/06/05 2:49:29
今日は平成25年(ワ)第10958号 特許権侵害差止等請求事件について検討します。
原告の株式会社横山基礎工事は、本社が兵庫県佐用郡佐用町にあって、土木工事業、とび・土木工事業、舗装工事業、しゅんせつ工事業を業として行う株式会社だそうです。特許を24件保有しています。一方、被告の株式会社高知丸高は、本社が高知県高知市にあって、特殊基礎工事、橋梁・鋼鉄造物や建設機械の設計、構造計算、製作施工一般土木、機械器具設置工事等を業として行う株式会社だそうです。特許を26件保有しています。単純に件数だけ比較すると両者は互角と言えます。
ちなみに万葉集にも歌われた有名な松浦佐用姫伝説は佐賀県唐津市です。
1.各手続の時系列の整理
(1)本件特許1(特許第2981164号)
(2)本件特許3(特許第3640371号)
(3)本件特許4(特許第4553629号)
(4)各手続について
① 本件特許1は登録後に移転されています。出願人及び登録時の特許権者は有限会社河野興業と株式会社絹田熔工です。理由はわかりませんが、最終的に株式会社横山基礎工事に譲渡されたようです。
② 本件特許1は通常実施権の設定登録が申請されました。申請したすべてが設定登録されたのかわかりませんが、何件かは設定登録されているようです。
③ 本件特許3は2005年4月27日に請求された特許無効審判の請求人は株式会社丸徳基業という宮城県仙台市の会社です。3カ月で請求を取り下げていることから当事者間で交渉が成立した可能性があります。
④ 本件特許3件とも2012年9月19日に閲覧請求されています。おそらくこれが被告による閲覧請求だと推測されるので、原告から被告への警告がこれ以前に行われたと思われます。
⑤ 本件特許2について、判決文に書いてありますが、この特許は被告が請求した特許無効審判で請求成立(無効)審決になり、知財高裁に出訴していましたが請求棄却判決になり2017年1月19日に確定したため取り下げられました。