外的付加について

投稿日: 2017/02/24 9:12:28

補正や訂正には「内的付加」と「外的付加」があります。この内的付加はいわゆる限定的減縮のことです。これは最後の拒絶理由通知を受けた際、原出願と同じ理由で分割出願を拒絶する際及び拒絶査定不服審判請求時の補正を制限するものです。青本には例として「例えば、発明特定事項を下位概念化するもの」とあります(青本には発明特定事項の定義はありませんが、特許請求の範囲に記載されている構成要素と捉えておけば十分と思います。)。これに対する外的付加は特許請求の範囲には記載されていない構成要素を加えるものでしょうか。もちろん明細書や図面には記載されている必要はあります。このように審査の一部で補正が内的付加に制限されることになったため、明細書の中における外的付加の補正の根拠になる記載が薄まってきているように感じます。

最後の拒絶理由通知を受けた際等に補正が限定的減縮(内的付加)に限定されている理由について青本には「既に行った先行技術文献調査の結果を有効に活用して迅速に審査を行うことができるため」としています。つまり、拒絶理由の対象である請求項に対して想定していない発明特定事項が追加されるために審査のやり直しになってしまうので困るということです。

一方、訂正の場合には内的付加に制限されていません。その理由は青本に書いていませんが、審査の一部で内的付加に制限した理由が審査の迅速化なので、審査官が関わらない訂正では制限する理由がないということだと思います。

例えば特許権者に訴えられた被告が侵害訴訟中に特許無効審判を請求した場合に対抗手段として特許権者が外的付加を行う訂正を請求した場合はどうでしょうか。

まず、それまで使っていた無効主張の証拠に加え新たに外的付加の内容が記載された先行技術を調査するでしょう。そして見つかった先行技術をそもそもの無効主張の証拠に組み合わせることができるか検討します。組み合わせが難しい場合には改めてすべての先行技術調査のやり直しをすることになります。しかし、訴訟にしても審判にしても期限があるので、被告の負担は大変なものになります。

このように、特許出願を権利にするために内的付加として補正できる発明に直接関わる技術の内容を充実化する必要があります。一方、権利になってから無効にされにくくするには内的付加だけでなく外的付加として訂正できるような発明周辺の技術の内容を充実化する必要があります。